八ヶ岳のサロン

  • 2023〜
  • 所在地:山梨県北杜市
  • 用途:週末住宅
  • 延床面積:152m²
  • 構造 規模:木造 地上1階建
  • 設計:TAKiBI
  • 構造:平岩構造計画
  • ランドスケープ(進行中):Yard Works
  • 施工:山本建設
  • 写真:Koji Fujii

都心に暮らす家族のための週末住宅である。敷地は八ヶ岳の麓の丘の中腹の別荘地に位置する。絵画制作とコレクションを趣味とする妻のためのギャラリー機能と、サウナ部に所属する夫のための合宿機能が求められた。そのため来客を許容する一室空間のLDKにギャラリー機能を併設し、そのまわりにサウナ機能と水回りも含む諸室を並べるシンプルな平屋建ての空間構成とした。また、外観に機能ごとのアクセントをつけ、空間体験に変化を与えるためにLDKとサウナ棟、その他の諸室は高さ方向のボリュームや内外の仕上げを変えることによって、分節した表現としている。
敷地の南側に位置するモミの木や白樺の巨木がある丘と、夏や中間期に南方のアルプス方面から吹く卓越風や太陽光の動きを内外の空間と対面させるために、南側に開いた大きな庇のある建物形態を決定した。庇に開けた3つの孔は、室内からも巨木を見上げ、天候や季節の移ろいといった自然現象をフレーミングし、鑑賞するための機能を果たす。また冬季は北側に位置する八ヶ岳山麓から厳しい季節風が吹き下ろすため北側は最大限に閉じ、風景を切り取り自然換気機能を持つ最小限のハイサイドライトのみを設けている。
構造計画は、約36畳の無柱空間のLDKと要求された耐震等級2を実現するため、杉無等級材の梁を910mmピッチに架け渡した合理的な架構形式としている。加えて凍結深度80cmという旭川同等の厳しい土中環境の基準があることから、最小限の地中梁で構造強度を確保し、できるだけ地面とスラブの縁を切るよう工夫した。
設備計画としては、冬季は-10℃以下まで冷え込むことがあるため、薪ストーブと壁掛けエアコン併用とし、暖気を床下経由でファン付きの床吹出口を通して各部屋に伝達する設計とした。また、薪ストーブの燃料となる薪は敷地内に大量に自生する榛の木を伐採して利用することによる資源の循環を目指している。
ランドスケープは第2期工事として春に向けて整備する予定である。
今後、このサロンで営まれる活動や交流によって、空間が彩られていくことを期待している。

ページトップに戻る